ご無沙汰しております。今日は最近読んだ本のご紹介記事を書きたいと思います。
本日ご紹介するのはスウェーデンの精神科医であるアンデシュ・ハンセン著のスマホ脳
現代人の日常生活に欠かせないスマホを使う事で私たちの精神や心にどのような弊害がもたらされているのか、そもそもの人間の脳の作りを踏まえながら分かりやすく解説をしてくれている一冊です。
この本は主に3つのポイントによって、スマホ(というよりかはSNS)がいかにして私たちの脳をハッキングしているか、それによって現在もしくは将来的にどのような事が起こるかが説明されています。それぞれ3つのポイントごとにこの本の紹介をしていきます。
◆主な3つのポイント
①人間の脳はサバンナで狩りをしていた時のときのまま
②SNSは脳の報酬系システムに入り込み私たちの脳をハッキングしている
③ストレス軽減のためには運動が重要
②SNSは脳の報酬系システムに入り込み私たちの脳をハッキングしている
③ストレス軽減のためには運動が重要
①人間の脳はサバンナで狩りをしていたときのまま
20万年前に私たちの祖先がアフリカの地で誕生しました。そこからはるか長い時を経て今に至る訳ですが、私たち人類が今のようなライフスタイル(スマホがあって当たり前の暮らし)を送るようになったのは、長い人類の歴史のほんの一瞬でしかないのです。そう、人間の脳はサバンナで狩りをして暮らしていた時から何の進化も遂げていないというのが筆者の主張になります。
狩猟時代を生き延びるには迫りくる他の獰猛な生物から身を守り、飢餓にも耐え抜き、また感染症などの病気も予防する必要がありました。加えて人間同士で命を奪い合う事も日常茶飯事だったので、隣の人間がどんな奴か?そんな事にも気を張る必要がありました。この時代を生き抜くにはタフな身体である事ももちろん、それ以上に周囲の環境に対し常に緊張感やある種の不安を持って過ごす事のほうが重要でした。
その名残で私たちは現代社会においても、幸福よりかは不安を感じやすいように出来ており、また無意識のうちに周囲に注意を払ってしまっています。結果としてストレスからうつ病を発症したり、またかつては生き延びるためには有効だった注意力が散漫してしまう事も現代社会においてはADHDとして診断されるようになっているのです。
②SNSは脳の報酬系システムに入り込み私たちの脳をハッキングしている
スマホは脳の報酬系システム(ドーパミン)を巧みに利用し、私たちの脳をハッキングしています。ドーパミンとは私たちの行動を起こさせる物質であり、ドーパミンによって私たちの「~したい」という欲望が刺激され、行動を起こすようになるのです。
スマホで言えばSNSの「いいね!」の通知が来る事によって、私たちは自然にスマホを手に取りたくなります。またそのいいねを確認するついでに、フィードに流れてくるショッキングな感染症の話題を目にしたり、友人の近況が更新されていないが画面をスクロールします。スマホは私たちの「~したい」という欲求を刺激する非常に魅力的なものになり、脳はスマホがそこにあると思うだけで集中力がスマホに向くようになっていると筆者は警鐘を鳴らしています。
ちなみに私たちが昨今、感染症の話題に敏感になるのはもちろん猛威を振るうCOVID-19のせいでもありますが、そもそもサバンナで生きていた頃の死因のトップに感染症が来ていたので、本能的にその話題を欲するようになっているのだそう。
③ストレス軽減のためには運動が重要
これは言うまでもないっていうアドバイスではありますが、本書では私たちの脳の作り(=サバンナでの狩猟時代で止まっている)を踏まえて、なぜ運動がストレス軽減に繋がるのかという事を説いてくれています。狩猟時代を生きていた人間は現代人のようにこんなに1日の大半を座って過ごす事もなかったため、今のような状況は脳からすると異常事態なのだそう。
45分間の運動を週3回続ける事で私たちはストレスに圧倒的に強くなるのだそう。マラソン並みの強度の高い運動は必要ないですが、心拍数を上げるような運動を何でも良いので実践してほしいと筆者は仰っています。
ざっとこんな感じの内容で「脳」となると取っつきにくそうなイメージの話題かもですが、筆者がかなり分かりやすくかみ砕いて説明してくれており、また外国語を翻訳した本にありがちな日本語表現が不自然で理解しにくいといった事もなくかなり読みやすかったです。
私たちの脳の作りがいかに現代のデジタル社会に合っていないかという点から説明してくれているので、デジタルデトックスという言葉も流行り始めている昨今、今一度スマホとの付き合い方を見直すきっかけを与えてくれる一冊となりました。